30歳を越えてくると、そろそろ親の介護のことが心配になってくる人が多いですね。

「親がもし倒れたら自分の生活はどうなるんだろう」
「今の仕事を続けられるんだろうか」
「お金はちゃんと賄えるだろうか」

などなど、高齢者が圧倒的に多くなって来る今、親の介護は大きな問題です。


私も今30歳後半になり、両親も65歳を越えておりそろそろ今後のことが気になってきています。


しかし、介護問題について具体的に想像できる人は少ないです。私のように介護業界で働いていれば想像しやすいのですが。


介護が必要になってしまう原因は大きく分けて2つです。
1つは脳卒中や転倒による骨折など病気やケガをきっかけにして身体が思い通り動かなくなってしまうこと。

2つ目は認知症などによって、自分自身のことが判断できなくなってしまうことによります。

これらの2つは重なって生じることも多いです。

しかし、これらはある程度は前もって予防できるのです。そして予防のための対策もこの2つに対して共通している部分が多くなっています。


予防のために大切なことを2つ紹介します。


時間のある方は以下の厚労省と日本神経学会の資料を読んでいただくと詳しく書いてあります。かなり量は多いですが。

高齢者 pdf
認知症疾患診療ガイドライン2017案 pdf


運動をする


もはや言い尽くされている感がありますが、なかなかできていない人が多いのではないでしょうか。

運動によって生活習慣病による脳卒中や心疾患の予防、転倒リスクが軽減できます。

またこれらの疾患にかかった場合にも、もともとの筋力などの身体能力が発症後の身体能力に大きく影響します。

実際に80歳を越えて大腿骨(だいたいこ)骨折から骨接合術をされた男性がおられました。

もともと歩くのが好きで過去は毎週のように山登り、直近でも1日30分は歩くという習慣をお持ちでした。

この方は術後、退院してデイケアに来られましたが、1ヶ月ほどでかなり改善されたのです。

具体的には、骨折側の脚で片足立ちができ、屋内では杖なしで安全に歩けるレベルです。

これは脳卒中などでも同じことですが、たとえ麻痺の程度が同じであっても、発症後の身体機能は発症以前の身体機能に大きく依存します。

元が良ければ病気になったあとの予後も良いということです。


運動することが認知症のリスクを低下させるという報告があります。
また一部では、発症後でもアルツハイマー型認知症患者の認知機能を改善するという報告もあります。

それに加えて認知症の危険因子である糖尿病や高コレステロール血症の予防にもなります。

このように心身両面に運動はよい影響を及ぼします。


とはいえ、先ほど紹介した男性のように元々運動習慣があるわけでない場合なかなか今から運動しましょうといっても習慣化するのは難しいでしょう。

健康のためにこれから毎日30分歩け!と言われてもそれを続けられる人は少ないでしょう。

そのため、まずは楽しめること、簡単であること、少なくともこのどちらかを満たす必要があります。

そして、身体にいいと言われる運動は色々ありますから、続けられるものを選びましょう。

遊びに行くこと

本当はやりたいことがあって、そのために行動する、というのが一番いいと思います。

買い物に行くのでも映画を見に行くのでもいいです。これらを通して外出することで結果的に身体を動かすでしょう。

もし特に趣味がないというご両親なら一緒に買い物に行くだけでもいいので、ときどき連れ出してあげましょう。

うちの場合は実家まで電車で1時間ほどなので、子供2人でときどき泊まりに行ってもらっています。

孫と遊びに出かけたりするのはなかなかいい刺激になるようです。もちろんこちらも助かりますし。

夏休みなどはより長期に泊まってます。負担をかけないかな?とはじめは思いましたが、最近はあえて頼みごとをしたり子供を預かってもらったりしています。

簡単にできること

とはいえ実家が離れていれば気軽に遊びに行くこともできません。

また特に趣味はないとかそもそもインドア派の人は外出する機会も少なくなります。

そんなときは家で軽く行える運動をやってもらうのがいいでしょう。

こういった器具を使うのもお勧めです。これは実際に双方の両親にプレゼントしました。




最近は色々なタイプの健康器具が出ていますが、中には急にやると身体を痛めそうなものもあります。自転車タイプで十分です。

こういうものも結局続けられるかどうかが大事ですが、うちの親の場合はかかりつけの病院で血液検査の結果コレステロールと中性脂肪が高く、医師に運動しなさいと言われているタイミングでこれをプレゼントしたのでうまくいきました。

やはり自分から運動しないといけないと思っているところに、子供からプレゼントしてもらったのでは使わないわけにはいかないですからね。

はじめはともかく5分でもいいからと、ハードルを低めに言っておきましたが、習慣化してしまえば続けられるもので、毎日テレビを見ながら20~30分は漕いでいるようです。


栄養をしっかり摂る


近年高齢者のサルコペニア・フレイルが問題視されています。その中で低栄養状態、中でもたんぱく質の不足が原因となっている場合があります。

※サルコペニア・フレイルとは~
サルコペニアは簡単に言えば筋力低下と身体機能の低下が起こることです。フレイルは虚弱や脆弱といった意味で心身の活力が低下した状態です。フレイルを経て要介護状態へと至ります。
サルコペニアの診断基準(EWGSOP)
サルコペニアは下記の項目1)を裏付ける証拠に加え、2)あるいは3)を満たす場合に診断される。
1)低筋肉量
2)低筋力
3)低身体機能


表2 Fried らのフレイルティの定義
①体重減少
②主観的疲労感
③日常生活活動量の減少
④身体能力(歩行速度)の減弱
⑤筋力(握力)の低下
上記の5 項目中3 項目以上該当すればフレイルティ


デイケアで話していても、メタボ対策などがよく言われるようになってきたために肉が悪者のように思っている人がいますが、そうではありません。

基本的には体重1kgに対して1日あたり1.06gのたんぱく質は摂るべきとされています。さらには、低たんぱく食、低脂質食は認知症のリスクを高める危険性もあります。

肉類をあまり食べずに朝昼の食事をパンやうどんだけで済ましてしまう人がけっこういます。もしご両親がそういう食生活をされていたら注意が必要です。
ただし腎疾患などの方はこの限りではありません。

その他

ほかにも、生活の中で実践できるポイントや知っておきたいことを以下にまとめておきます。

飲酒に関しては「悪くない」


他には適度の飲酒は認知症リスクを下げるという報告があります。

赤ワインで特にその効果が高く、他のアルコールでは効果がないという報告もあるため、飲めない人が無理に飲むべきとまでは言えませんし、適度な量というのが確定していない点には注意が必要です。

ともかく軽い晩酌は悪くないということです。


魚をあまり食べない人はアマニ油等の摂取は有効かも

あとは一時期テレビなどでえごま油やアマニ油が認知症によいということをしきりにやっていましたが、今のところはっきりと効果があるといえる研究はありません。

ただし厚労省もn‒3系脂肪酸やDHA、EPAの1日の推奨量を出しており、健康食品の企業などはそれを根拠としているようです。

脂質.pdf

ただし冠動脈疾患(心臓疾患)や加齢黄斑変性症の発症リスクを下げるといった研究はあり、魚をほとんど食べないという人は考慮に入れてもよいかと思います。
その場合でもこういった酸化防止のボトルに入ってものにして冷蔵庫に入れましょう。



まとめ

結局のところ、健康に長生きしたければバランスのよい食事と運動ですよということです。
そんなことは昔から言われていることですが、最近の研究を通してそれらが少しずつ証明されてきたというわけです。
すべての病気を防ぐことはできませんが、生活習慣病が万病の元であることは確実なのでできることから気をつけましょう。