介護技術2



歩行介助と銘打ってはいますが、その前段階である立ち上がりや立位にも触れていきます。



理学療法士として介護職の方から歩行や移乗の際の介助の仕方をよく尋ねられます。

また職員に対して研修をやってほしいと頼まれることも多いです。


研修は、今実際に介助に困っている人を個別にピックアップしてもらってこちらがみんなの前で説明するという形式で何度かやってきました。


ところが、利用者さんも入れ替わり職員も新しい人が入ってきたのでまた研修会をやってほしい、と言われたんですね。

そう、常勤や長く勤めている介護職の人が自ら答えを見つけて後輩を指導していける状態にはなっていないのです。


これでは何度繰り返しても同じことだなと思いました。

自分自身が何度も研修をするのはまあいいでしょう。

どちらかというとサラリーマンとしては自分にしかできないことを残しておくのは一つの生き残り戦略ではありますから。


でもね、

「それじゃつまらんな」

と思ったんですよ。


「介護職の人自身で後輩に指導し必要に応じて研修をできるようになってもらいたい」

「最終的に自分が必要ない状態にもっていきたい」

そう思いました。

その方がやりがいがありそうだと。


そのためには自分が自身が答えを導き出すその思考過程と、その思考をするのに必要な情報を一度しっかり説明しておかないといけない。

どんな利用者さんがきた場合でも介助方法を自分で考えられる能力というのは、理学療法の仕事の中で培われたものではありますが、その能力自体は理学療法士特有のものではありません。

実際に感覚で上手にできている個人というのはいます。


基本的にはスポーツなどと同じように、基礎を知り動作を繰り返すことで学んでいける技術です。



これから説明しようとしていることは介護福祉士や介護職員初任者研修のテキストには載っていないものがほとんどです。

そのためおそらく今までに習ってきていないことも説明しますが、それらについては科学的な正確性よりも、理解しやすさと実践に使えるということを重視して説明しますので聞いてわからないというようなことはないと思います。

事実、その研修のあと説明している内容がわからないという人はひとりもいませんでした。

そしてなりより参加されたみなさんからわかりやすかった、新しい視点だったとよい評価をいただきました。


ただ、よい評価をいただいただけで結果が変わっていかなければ意味がありません。


そのため自分自身さらに研修内容をブラッシュアップし、より継続して学んでいってもらえるような仕組みとしっかりしたテキストを作りたいと思っています。

その練習の意味もあり研修内容をここに公開していきます。



ということで普通の介護職の人が知らないような内容も交えてバイオメカニクスや人間のバランス能力の基礎、それらを活かした介助方法について説明していきます。

その内容を理解しいくつかのことを実践していただければあなたは介護職の中で立位や歩行のエキスパートになれます。

また、あなたが人を指導する立場であるならこれから説明する内容をもとに後輩・部下を指導することもできるでしょう。


さて、前置きだけで長くなってしまいましたので概要を以下に載せます。

次回から徐々に説明していきます。


①ボディメカニクス・バランス能力

 重心とは
  質量の中心 重さのバランスの取れる点

 支持基底面とは
  身体を支えるために床と接している部分を結んだ範囲


 立ち直り反応
  重力に対して正常な位置を保とうとする反応
  例:バランスボール バイクのカーブ 

 平衡反応
  支持基底面に重心を保とうとする反応
  例:片足立ち 電車で揺れに耐える

 ステップ反応
  重心が支持基底面から外れた際に手や足で新しい
  支持基底面を作る反応
  例:つまずき 電車で揺れに対して脚を出す


②自分の身体、相手身体を知る

 健常人が患者さんの感覚をつかむということ
  患者さんは健常人の機能を低下させただけではない

 まず自分の動作に意識を向ける
  体性感覚と見た目は異なる
  技術である限りは感覚でつかむ


 静歩行と動歩行
 バランス維持の戦略の違い
 電車内 スケート 綱渡り


③本人の力を活かした介助方法と転倒の予防
 
 自ら対策を考えられる

 よい介助は電動アシスト自転車やパワーアシスト機器のように


 転倒には2つのパターンしかない
  膝折れなど崩れ落ちる
  支持基底面にあっても起こる

  支持基底面から重心が外れる
  平衡反応もステップ反応も機能しなかった場合に起こる


 安定を取るか移動を取るか
  安定と移動はトレードオフ、常に矛盾をはらむ


 繰り返しになるが…
  うまくいった時いかなかった時
   介助された側の動作を真似る
   自分の身体の動きを感じてみる 

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