介護技術2

前回
介護職必見!理学療法士による転倒させない歩行介助のコツ【第一回】からの続きです。


まず、みなさん自分の身体の動きというのは自分の意思で思ったようにできている、と思われるでしょうか?

身体の中にはある種のプログラムのようなものがあります。

ひとつひとつの動きは自分の意思で細かく制御されているわけではなく、そのプログラムを呼び出すことで行われています。

たとえば急につまずいてもそれほど意識しないままに身体を立て直せますし、車の運転に慣れている人であれば考え事をしていても車を走らせることができるでしょう。後者の例は学習によるものでありマクロに近いですが、ともかく自分の意識しないところで無意識に制御されている一連の動作のセットがあるということです。

つまりプログラムが働かなければ動作は行えないわけです。

そのプログラムには脳や脊髄といった中枢神経の中に原始的に備わり成長とともに発現してくるものと、先ほど例にあげた車の運転のように繰り返しの中で習得される運動のセットがあります。

バランス能力に関わる反応にはいくつかの解釈や分類がありますが、ここでは厳密な形ではなく、その中から転倒予防と介助をスムーズにするという目的のために必要な姿勢制御の仕組みをお話ししておきます。


立ち直り反応
  重力に対して正常な位置を保とうとする反応
  例:バランスボール バイクのカーブ 

 平衡反応
  支持基底面に重心を保とうとする反応
  例:片足立ち 電車で揺れに耐える

 ステップ反応
  重心が支持基底面から外れた際に手や足で新しい
  支持基底面を作る反応
  例:つまずき 電車で揺れに対して脚を出す 

まず立ち直り反応ですが、これは例にあるようにバランスボールに乗って身体が揺れたときやバイクや車でカーブに差し掛かったとき、そのまま全身で倒れ掛からずに頭や身体を傾きと反対側に起こそうという動きが生じます。これによって頭部や体幹をより正中位に保ち重心を支持基底面の中心に近い部分に置くことができます。

次に平衡反応です。片足立ちと書いていますが、両足で立っていても同じことです。ただ、片足で立ってみると両足で立っているときと比べて不安定になるため、倒れないためになんらかの作用が働いていることを感じやすいはずです。このときに重心を支持基底面内から外れさせない反応を平衡反応といいます。
他にも電車で急な揺れを感じたときになどに、揺れと反対の方向に手が浮き上がったり、背伸びするようにかかとが浮き上がったりするのがわかりやすいでしょう。

一方、ステップ反応はより強い動きで重心が支持基底面から外れてしまったあとの反応です。
歩いていてつまずいた時、または電車で急に大きな揺れが生じたときにパッと外側に足を出したことがあると思いますが、これがステップ反応です。ただ、これも平衡反応の一部なのですが、実際の場面では重心を基底面内に保とうとする動きと、外れてしまった場合に対応する仕組みとを分けて考えたほうがわかりやすいため区別しています。

そして、みなさん健常者であれば立位をとるということや歩行するということを大した努力なくできています。そのため普段自分の身体にこうした反応が生じていることを体感していないと思います。

しかし、人が自然に立っていられて、転倒しないのも自分の意思でできているようですがこれらの反応が備わっているおかげなのです。


そこが欠けているから患者さんは患者さんなのであり、今回学んだ反応と患者さんの状態への理解を深めるよう次回はいくつか自分の身体で体感してもらうことにします。

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